新刊書のご案内


筑摩書房
2022年6月10日
924円  (税込)


講談社
2022年5月16日
1700円  (税別)

鬼怒川水害復旧調査

 2015年9月の関東・東北豪雨で,鬼怒川が大水害に見舞われました.
 危険学プロジェクトのグループ(10)「災害」分科会は,その復旧状況を知るため,2016年10月19日に国土交通省関東地方整備局下館河川事務所の案内で,復旧現場を見学してきました.
 自然堤防が大規模溢水を起こした鬼怒川沿いの常総市若宮戸(写真6),大規模決壊が 起きた常総市上三坂の堤防復旧現場(写真7)だけでなく,1986年の台風10号による大雨 で決壊した小貝川の決壊地点も見てきました.
 堤防が決壊したため,1週間後の台風襲来に備えて24時間の突貫工事による仮設堤防が築かれた上三坂では,復旧工事が仕上げ段階にあり,仮設・復旧両工事の速さに驚きました.
 最後に,洪水で非常用電源が水没して電気が使えず,災害の初動期に機能不全に陥った常総市役所も見てきました.過去に大地震による被害を数多く受けてきた我が国においては,全てにおいて地震対策が最優先される事情は理解できますが,鬼怒川と小貝川に挟まれた低地にあって洪水の危険性が高い常総市役所にもかかわらず,洪水対策がこのように貧弱であるのは大きな問題です.
 2011年3月の東日本大震災で,福島第1原子力発電所が冷温停止できずに炉心溶融を伴うレベル7の大事故を起こしましたが,これは津波による配電盤水没によって電気が流せなくなり,全電源喪失に至ったのが原因です.4年後に,常総市役所でも同じ過ちを繰り返してしまったことになります.

写真-6 常総市若宮戸の自然堤防復旧状況


写真-7 常総市上三坂の決壊堤防復旧状況