放射能汚染土の「その場処理の深穴埋め除染方式」の
有効性を立証
2013年11月に福島県飯舘村比曽地区で,地元住民の協力を得て開始した放射能汚染物質の「その場処理の深穴埋め方式」による除染実験(注)は,危険学プロジェクト最終年度の2016年度まで,地下水の健全性を証明するためのセシウム分析(全9回),埋設した汚染土の地中挙動を監視するための地中線量計測(全5回)等を定期的に行ってきました.
その結果は以下の通りで,「その場処理の深穴埋め」による除染方式の有効性が立証されました(詳細は,プロジェクト修了後に論文にして学会発表する予定です).
<除染実験結果>
- 地下水中のセシウム濃度:全検体が検出限界「1ベクレル/kg」未満であった.この結果から,埋設汚染土の周囲に適度の厚さの被覆土があれば,地下水が放射能汚染されることはないことが証明された(写真-4).
- 放射性物質の土中移動:放射能汚染土を埋設した箇所の土中深さ方向の放射線量のピーク位置は常に同じで,放射性物質の深部への移行は認められなかった(図-1).
- 除染実験の各種結果は,実験方法等の説明とともに,実験場所に掲示しています(写真-5).
写真-4 地下水採取管
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図-1 土中放射線量の時間的変化
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写真-5 現地設置の掲示板に実験結果を掲載
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(注)その場処理の深穴埋め除染方式
図-2に,本除染方式による放射能汚染土の埋設手順を示す.この方式によると,放射能汚染土を「集めなくてよい」,「運ばなくてよい」,「積まなくてよい」ことになり,「保管場所の心配がなく,除染作業が停滞しない」,「除染作業が楽で,作業者の被ばくも少ない」,「景観を損なわない」などの利点がある.
図-2 「その場処理の深穴埋め除染」作業手順