筆者は「現地」を訪れ,「現物」に触れ,「現場」の人と議論する「3現」をモットーに,技術や産業の現場から事故や災害の現場に至るまで,様々な現場を訪れ,見聞しあり学んだりしたことを元に自分の考えを作ってきた.本書では,主に技術に関する「3現」を取り上げ,考えをどのように作り上げたかを紹介すると共に,現在苦境に立たされている日本の技術に活路を見出し,生き残るにはどうすればよいかについての筆者の考えを紹介する.
【目次】 第1章 鉄の道をゆく 第2章 たたらの里をゆく* 第3章 津波の跡をゆく 第4章 ミクロの世界をのぞきにゆく 第5章 技術の系譜をたどる 第6章 道なき道をゆく 付録 考えを作る
*村下とは、たたら操業を行う集団の長(おさ)をさす。村下は国から選定保存技術保持者として認定され、現在は木原明さんと渡部勝彦さんが務めている。この二人の村下は互いに切磋琢磨して、たたらの技術の錬磨に励んでいる。なお、操業の見学や写真撮影などについては、公益財団法人美術刀剣保存協会(日刀保(にっとうほ))の許可が必要である。 |